コロンビアのある街で、仲間の孤児が死ぬ度に、せめてもの餞にと、ゴミ捨場でなるべく色とりどりのネクタイを捜して来て棺の中に入れてあげる女の子がいたそうです。いつしか皆から“ネクタイの女の子”と呼ばれる様になりました。
『命と自由』では中南米の街の孤児達の現実をこの“ネクタイの女の子”の日記風手記に託して毎月お届けします。
登場人物の名前は架空ですが、総て実話に基づく街の孤児達の劇的な現実の忠実な描写です。
その内容は生存のために苦悩するこれらの虫けらの如き孤児達と、それを却って差別迫害する慈愛に欠けた社会に訴えるものです。
Nº 6 MAYO(2008年6月)
アバはもう話すことはなかった。3人の若い兵隊に強姦された夜、悪い連中が悪いことをする時は何を言っても無駄だと分かったから・・・。
僅か8才で(確かじゃないけど)、いつも飢え乾いて、アバは毎朝黒くて細い体を伸ばして、すぐに前夜見た悪い夢を無理矢理忘れて、その日を生きるための闘いに目を開く。両親もなく(焼死して天国にいる)、兄弟もなく(泣き声しか記憶にない)、親戚もなく、誰かに助けてもらえる希望もない。隣国のチャドと言う国に歩いて行けば、食べ物と冷たい水はもらえるって聞いたけど・・・。
アバはその国を目指して、もしかしたら家族に会えるかも知れないと思って毎日裸足でかなり歩く。だって会えたら一緒に泣けるでしょう。でも・・・、着くことはなかった。