スペインギタ-週間コルムナ◆火曜日更新

現代人は勉強に仕事に忙しいのです。限られた時間を有効に活かしてギタ-を上達するにはスペイン人ギタリストの真似をするのが一番。楽譜なし、教則本なし、基礎練習ゼロ---。

 毎週このコラムを読めば貴方のギタ-人生が根底から覆されます。もし覆されない方がいらっしゃればグラナダにおいで下さい。私が自腹でスペイン名物脳みそフライをご馳走します。

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100 ギタ-と高校野球 31-08-2004(火)

 
  以前『ギタ-と野球』をテ-マにコルムナ10を書きましたが、記念すべき第100回目は先々週終わった高校野球甲子園大会を題材に左手だけでなく、ギタ-全般について考えてみましょう。
 何故急に高校野球かと言うと次の新聞記事が目に入ったからです(先週の①②③はまたの機会に)。 
 これは優勝した駒大苫小牧高校の強力打線についての論評ですが、これを読んだ時、思わず“スペインギタ-週間コルムナ”と同じじゃないかと思った次第です。 
 ギタ-とは左手の指で弦を押さえて、右手の指で弦を奏でる・・・。これは或る意味非常に了見の狭い発想です。実はギタ-だけに限らず、どんな楽器もスポ-ツも勉強も仕事も基本的な事柄は皆同じではないでしょうか? これはこじ付けではなく確かにそうです。ですから、何気なく見過ごして来た他の分野や業界の色んなことからでも、良く注意してみれば必ずギタ-に繋がる何かの教訓を得ることが出来ます。もちろん、野球からも。
 ましてや、この記事は“何か”どころか、ギタ-を弾くための“肉体的基礎”そのものです。もちろん、懸案中の左手も、そして、右手も。
 読者も来週までにこの記事を良く読んで、何がどうギタ-と関連があるのか考えてみて下さい。
 
 

 

99 一応左手親指の一般論 24-08-2004(火)

 
  あくまで“左手自体の自然体と安定”のため(コルムナ98)だと言うことを前提に左手親指の運指を考えてみましょう。とは言え左手の親指の運指はこうだと決め付けるのでなはく、最終的には各自に一番適した場所に位置させれば良いことは言うまでもありません(同96)。
 さて、左手親指に関して良く言われることを三つ。①定位置はネック中央 ②低音弦側に見え隠れするなど持っての他 ③親指の腹でネックを押さえる
 まず①ですが、手の小さな日本人には全般的にはネックの中央よりやや高音弦側に位置させる方が良いと思います。②に関しては①の対極になりますので、けしからんと言うことになりますが・・・。特にネックの細いフォ-クギタ-経験者はクラシックギタ-やフラメンコギタ-を手にしてもこの癖がそう簡単には抜けない様です。③は余程難解なポジションでもない限り、これで宜しいと思います。
 ただし、勘違いしてはいけないのは、例えこれらの左手の親指の押さえ方や位置や運指が正しくとも、同時に左手全体が自然体でリラックスして力が抜けていなければ、つまり左手全体が力んでいれば大した効果はないと言うことです。
 来週からは①②③についてもう少し詳しく述べてみましょう。
 
*7&8月はHP管理者の夏休みの都合に拠り更新が従来の火曜日より2~3日遅れます。予めご了承下さい。
 
 

 

98 何故左手の親指の運指なのか 17-08-2004(火)

 
  左手が苦手な曲を左手の親指の運指に注意しながら弾いてみましたか(コルムナ96)? ただし、左手の親指の運指自体が目的ではありません。こんがらがらない様に何故左手の親指の運指なのか、もう一度整理してみましょう。
・右手の指(p:i:m:a:ch)自体が短い、硬い、爪の形が悪い、或いは鍛錬不足だから思う様に動かなかったり、音が小さかったりするのではなく、実は多くの場合右手の指の土台である右手自体が不安定で揺れているため右手の指も自然と不安定になる(同13)。
・足腰がグラついているのに腕力だけ鍛えてヒットを打とうとする様なものである(同13)。
・力を抜いて自然体に足腰をどっしり構えて力まずジャストミ-トすれば球は飛ぶ(同22&23)。
・右手の指(p:i:m:a:ch)も理屈は全く同じ。いくら基礎練習で右手各指自体を鍛えても、右手自体がグラついている間は無益に終わる(同16)。
・逆に右手を力まず自然体に構えて安定させてやれば指は自然に良くなる(同16&17)。
・腰を矯正すれば体の各所が自然に良くなるのと同じである(同4)。
・そして、左手も理屈は同じ。
・Fが押さえ切れない:ポジション移動がスム-ズに行かない:思い切り指先で引っ掛けても、打ち下ろしてもスラ-やハンマリングが蚊の鳴く様な音しか出ない:指が遠くに届かない:すぐに手が疲れる:押さえ切れず雑音が出る・・・。これらの一般的な左手の指(1:2:3:4)の問題は指の長さや硬さや練習不足ではなく、多くの場合左手自体が安定を欠いているから左手の指もグラついて思う様に押さえ切れないのです(同94)。
・左手の土台も指もグラつけば“溺れる者ワラをも掴む”かの如くますますネックを力を込めて握り締めてますます疲れてしまいます。
・この悪循環から抜け出すには指よりまず指の土台の左手自体の自然体と安定を優先順位にして弾くことです(同95)。
・つまり、指使いは間違っていいから左手に余計な力が入らないことを大前提とした演奏を心がけます(同95)。
・いくら間違いなく弾けても、力んで最後は根性で弾き終えた様な演奏はロ-ギアで全力で完走した様なもの(同8)。何の自慢にもなりません。
・この“左手自体の自然体と安定”について、まず左手の親指の位置や運指を考えても良いのではないかと先々週から思い立った訳です(同96)。
・結局右手も左手も理屈は同じ。手自体が安定すれば指は自然に良くなります(同94)。
・つまり、まず手自体、次に指。この優先順位を誤るとギタ-人生こけます(同95)。
 
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97 ホセ・マヌエル・カ-ノ来日コンサート 10-08-2004(火)

 
  今月20~29日まで筆者の師匠故マヌエル・カ-ノ先生の息子でフラメンコギタリストのホセ・マヌエル・カ-ノが来日コンサートを行います。
 “フラメンコギタ-ソロ”と言う日本では知られざるジャンルとその技術に目を剥いてカルチャ-ショックを受けたい方、聴いてみて下さい。
 ごく簡単にフラメンコギタ-独特の奏方について説明しますと・・・。①右手の指で向こうからこちらへ弾くのはもちろん、こちらから向こうへ弦を弾き飛ばす(ラスゲア-ド) ②親指単音の独奏 ③親指を弾いてしかも返し、更にそれを連続させる親指独奏(アルサプ-ア) ③表面板に透明プラスチックを貼り、演奏途中に太鼓の様に指先で叩く(ゴルペ) ④スラ-&ハンマリングの多用 など
 総て彼のオリジナル、もしくは編曲で、もちろん楽譜はなし(少しは読めないこともないらしいが頭が痛くなる!?)。ピカ-ド(スケ-ル)とトレモロは余り得意ではないが、勢いで強引に弾き切ってしまう脅威のパワ-、そして、人間離れしたバカでかい音量の割には力を使わないので綺麗な音色・・・。
 他のジャンルのギタ-の皆さんも一度フラメンコギタ-と言う異次元空間に触れてみませんか。人生もギタ-人生も出会いで決まります。
 日程はhttp://6216.teacup.com/daido/bbsの通り。
 左手の親指の運指はまた来週から。 
 
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96 左手の親指の運指!? 03-08-2004(火)

 
  確かに“スペインギタ-週間コルムナ”の基本理念(上枠↑)は“ギター教則本をぶっ飛ばせ”ですが、今週からしばらく、奇想天外にもギタ-史上誰も(おそらく!?)述べたことのない弦を押さえる左手の親指の運指について考えてみましょう。
 これは何もわざわざ捻くれたテ-マを捜した訳ではなく、左手の指(1:2:3:4)の上達はギタ-教則本やギタ-教室の先生の固執する左手の指自体の鍛錬ではなく、左手全体及び左手の親指の安定なくしてはあり得ないことを思えば(コルムナ87~95)、当然思い付くべき発想です。
 かと言って“運指”と決め付けて形式化してしまうのは“スペインギタ-週間コルムナ”の基本理念に反します。“運指”とはあくまで左手の親指をどこに置けば左手全体が一番安定するかと言う意味であり、それは当然弾き手に拠って違って来て当然です。
 さて、あくまで左手全体の安定を優先順位にして“禁じられた遊び”を弾いてみましたか(同95)? 今週は2曲弾いてみましょう。各自得意な曲と不得意な曲を選んで下さい。短いフレ-ズで構いません。その際両者の左手の指自体ではなく、左手自体の安定感に注意しながら弾いて下さい。
 得意な曲は左手全体がリラックスして安定感があり、不得意な曲は左手全体が力んでぎこちなく、不安定ではありませんか?  
 不得意な曲の左手の親指の位置、つまり、左手の親指の運指を工夫しながら、不安定な左手を安定させることを優先順位にして弾いてみて下さい。左手の指(1:2:3:4)自体のリラックスや安定ではなく、左手の指は忘れて左手自体のリラックスと安定に全神経を集中させてみて下さい。そして、そのついでにその左手自体のリラックスと安定を得るために一番適した左手の親指の運指(位置や移動など)を捜しながら弾いてみましょう。
 
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95 左手の指より左手 27-07-2004(火)

 
  どんなスポ-ツも足腰が安定していてこそ技が効きます。バッティング、サ-ブ、スマッシュ、突っ張り、押し出し、水平チョップ・・・。いくら腕力自体を鍛えても、足腰が不安定なら威力は伝わりません。実際スポ-ツ選手は足腰の衰えを感じて引退を考え始めるそうです。
 ギタ-も同じ、右手も(コルムナ13)、もちろん、左手も同じです。音階:上昇スラ-:下降スラ-ハンマリング:拡張など総て指(1:2:3:4)の技なのです。観客なら技だけに目を奪われても罪はありませんが、奏者なら時として致命的です。
 指(1:2:3:4)だけ鍛えるのが致命的とは大袈裟かも知れませんが、室内装飾だけに専念する余り、建物の基礎工事がグラつけば建築家として致命的と言ったところで大袈裟でしょうか(同3&14)? いや、むしろ図星です。ギタ-も理屈は同じなのです。
 音階:上昇スラ-:下降スラ-ハンマリング:拡張など左手の指の技がしっくり来ない人・・・。何年やっても上達どころか同じ場所を堂々巡りしている感じがする人・・・。1:2:3:4の技より、まず一見ギタ-演奏には無関係に見える左手全体(1:2:3:4以外)の安定に注意してみて下さい。
 例えば、『禁じられた遊び』を弾きながら1:2:3:4の指使いではなく、その1:2:3:4の土台の左手全体の安定感に細心の注意を払って弾いてみて下さい。不安定感を覚えたらそこはもっと気分をリラックスするとか、親指の位置を変えるとか(同90)・・・。とにかく1:2:3:4の技は二の次、左手全体の安定こそ最優先。この順番でやってみて下さい。つまり、腕力ではなく、まず足腰の安定です。
 人生或る意味総ては優先順位の問題と言えます。ギタ-も指は一番後回しで良かったりして!?
 
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94 左手も右手だ 20-07-2004(火)

 
  要は親指の位置に関係なく左手全体が安定すればそれで宜しい訳です(先週のコルムナ)。
 ところで、文脈上“左手の親指の位置“から書き始めましたが、大切なことはそれが“左手全体(指以外)の安定”のためだと言うことです。前者は手段で後者は目的です。これを取り違えると日本語で言う目的と手段を取り違えることになります。
 さて、実はこの左手全体の安定こそ、つまり、教則本で音階:上昇スラ-:下降スラ-ハンマリング:拡張など、これでもかと言う位鍛えろ言われる1:2:3:4の指以外の左手の安定こそ1:2:3:4の上達の秘訣なのです。
 逆に、教則本で音階:上昇スラ-:下降スラ-ハンマリング:拡張などの1:2:3:4の練習で皆さん上達したでしょうか?     
 人生順番を間違えるとコケます。家も土台より二階を先に立て始めると崩れます。二階の良し悪しではありません。
 結局左手も右手の場合と理屈は同じです。『右手も左手も指に問題が起きれば原因はその指自体ではない』のです(同16)。
 右手のimaがグラつくのはima自体のせいではなく、imaの土台がグラついているからimaもグラつくとすれば(同16)、左手も全く持って同じ理屈です。音階:上昇スラ-:下降スラ-ハンマリング:拡張などが出来ないのは1:2:3:4自体が悪いのではなく、1:2:3:4の土台、つまり左手自体がグラついているから1:2:3:4がグラついて音階:上昇スラ-:下降スラ-ハンマリング:拡張などが上手くいかないのです。
 右手のimaも左手の1:2:3:4もそれらの指自体の鍛錬や技ではありません。右手左手自体の安定不安定の問題なのです。
 詳しくはまた来週。
 
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93 はみ出せば丸見え 13-07-2004(火)

 
  基礎とは目に見えない個所、または目に見えても人が注目しない個所』だとすれば(コルムナ88)、日本人の場合“正統派”の演奏をしている人に限って言えば、常にネックの陰に隠れて見えない左手の親指こそ左手の肉体的基礎(の一つ)だと言えます。  
 何故これが一応“正統派”か? 日本のギタ-教則本やギタ-教室では左手の親指はネックの中央に位置させると教えるからです。
 ではスペイン人を初め外人の場合はどうなのでしょう? 筆者の見るところ、皆手がデカイこともあり、左手の親指は却ってネックからハミ出している場合が多い様です。特に教則本も楽譜も見たことのないスペイン人フラメンコギタリストは、そんなことは考えたことも気にしたこともない様です。
 要は弾き手本人が一番しっくり来るところに左手親指が自然に来れば良いのであって、それは人に拠って異なるのがむしろ当然です。
 大して難しくないポジションなら親指もリラックスの余りネックからハミ出しても良いですし、逆に反対(高音弦の下)側に親指を置きがちなギタリストも筆者は知っています。この方が1:2:3:4の守備範囲も広がり、セ-ハも押さえ易くなりますので手の小さな日本人にはお勧めですが・・・。
 日本人は演奏姿勢も右手左手のフォ-ムも爪の形も総て外面の型から入ると言っても過言ではありません。
 逆です。左手親指はネックの中央に位置させると教則本に書いてあるから左手の親指はネックの中央に位置させなければならないのではなく、左手の親指をネックの中央に位置させると左手全体が安定する人が左手の親指はネックの中央に位置させれば良いのであり、親指の位置がネック中央のやや向こうでも手前でも、或いはハミ出しても、弾き手本人がそれでいいならそれが最善のポジションです。
 型にハメられることはありません。せっかくの良い教えも成文化してしまうと窮屈な正統派になってしまいます。
 
 

 

92 バイオリンもギタ-なのだ 06-07-2004(火)

 
  先日バイオリンの日本人のプロの人がやって来ました。一緒にパコ・デ・ルシアのコンサ-ト(先週のコルムナ)に行ったり食事をしたり・・・。
 バイオリン業界の裏話を色々聞いたのですが、さすがはギタ-と違ってメジャ-楽器、動く金の量が違いますね。いや~、これではちょっとしたネズミ溝か新興宗教並みです。一流奏者の教祖様、疑いもせず有り難がって言われた金額を鵜呑みにして喜んで払う、金にいとめは付けない信者さん、そして、その間に巣食うバイオリン業者・・・。ギタ-業界とは大人と子供です。ま、体質は一緒ですが・・・。
 いずれにせよ、バイオリンを大衆に根付かせたかったら、もっと大衆に手の届く料金で出すべきでしょう。これでは貧乏人はバイオリンを弾くな、バイオリンの普及なんかどうでもいい、金持ってる奴だけ来いと言っているのと同じです。実際バイオリン業界の人はバイオリンをバイオリン産業としか見ていないのであって、真にバイオリンが好きだからと言う人はむしろ少数派の様です。
 我々は資本主義社会に生きている以上何事も或る程度“産業”になってしまうのは仕方がないと思いますが、本当にバイオリンが好きな愛好家に良質のバイオリンを適価で譲ってあげ様と思うのが人情でしょう? それが何故平然と原価の~倍の定価を付けるのでしょうか? 
 読者の中にもし高級バイオリンを安く手に入れたい人がいれば迷わず自分で飛行機に乗ってイタリア当たりまで買いに行けばいいだけの話しです。通訳を雇っても目を疑うほどお釣りが返って来ますよ!? ギタ-も!?
 左手の続きはまた来週から。
 
 

 

91 さすがはパコ様・・・の左手!! 29-06-2004(火)

 
  先週火曜日はスペイン全国皮膚がん日和。当グラナダ市もこの夏最高気温(38度)の中、日中は年中行事の“スペインオカマレズ協会”のパレ-ド、そして、夜は22:30から闘牛場で何とフラメンコギタ-の神様パコ・デ・ルシアのコンサ-トがありました。
 余りの暑さにオカマ大会は盛況ではなかった様ですが、パコ・デ・ルシアの方は抜群の知名度もあり、半円形劇場のセッティングの闘牛場には6000人の大観客が押し寄せました。
 近年パコ・デ・ルシアの演奏はジャズの匂いがして個人的には余り好きではなかったのですが、何せこの業界の第一人者。そんな個人的な好みなど全く超越した悟り切った仙人を思わせるス-パ-スタ-の貫禄、衰えを知らぬスピ-ド違反のピカ-ド(スケ-ル)、抜群のリズム感、pp~ffまで自由自在に操る表現力、嵐の様なラスゲア-ド(フラメンコギタ-独特の右手の掻き鳴らし)・・・。いや~圧倒されました。
 実はパコ・デ・ルシアは子供の頃故マヌエル・カ-ノ先生のお宅に勉強に来ていた時期がありました。まだパコ・デ・ルシアと言う芸名の付く前、兄ラモンとのコンビで“Los Chiquitos de Algeciras:アルへシラスボ-イズ”と呼ばれて注目され始めた頃の話しです。結局すぐにカ-ノ先生の紹介でHISPAVOX社から初てのシングルレコ-ドを出すに至ります(当時12歳)。このレコ-ドのカラ-コピ-(オリジナルを持っている収集家は売ってくれませんでした!?)は日本語情報センタ-に展示してありますので、皆さんいつか見に来て下さい。因みに裏面の解説はカ-ノ先生です。
 さて、筆者自身は左手についてコルムナを執筆中でもあり、特大スクリ-ンに映し出されるパコ・デ・ルシアの特に左手に注目していました。
 疾風の様なポジション移動の速さなど細かいことは別にして、一番印象に残ったのは“あれっ”と思うほどの押弦の際の“ふんわり感”です。ハンマリングも力強く打ち下ろすのではなく、指をふわっと弦に置くだけに見えました。そう言えば昔パコ・デ・ルシアに会った日本人の話しに拠ると、彼の左手の指先にはタコがないそうです。
 どんなジャンルでも名人達人ほど最小限の力で最大限の力を伝える・・・。これは真にもって真理です。我々もことテクニックに関して言えば右手も左手もこれを目指すべきです。それでは左手の指に力を込めないで弦を押さえるためにはどうすれば良いのでしょう?
 指(1:2:3:4)は後回しにして、まずは指以外が力まないこと。だからこそ左『手』自体と『親指』なのです。
 
 

 

90 名前さえ付けてもらえない可愛そうな左手の親指 22-06-2004(火)

 
   左『手』自体と『親指』について。まずは親指から。と言っても親指もその他の箇所も常に相関関係にありますが・・・。
 左手には指が5本ありますが(右手も!?)、ギタ-の世界では右手の指は5本共p:i:m:a:ch(因みにこれらはそれぞれスペイン語の親指pulgar:人指し指indice:中指medio:薬指anular:小指chicoの頭文字)と名前が付いているのに、左手の指は人指し指1:中指2:薬指3:小指4だけ!? クラシックギタ-では使われない右手の小指でさえ一応chと名前を付けてもらっているのに、左手は親指5と名付ける発想さえない!? それだけ左手の親指は全く軽視されており、誰もが弦を押さえる1:2:3:4だけを鍛えればいいと心から思い込んでいる証拠です。
 それでも僅かに左手の親指が教則本に登場するとすれば、冒頭の正しい姿勢のペ-ジに書かれている“ネックの中央に位置させる”こと位でしょうか? それも“親指も一応ついでに”と言う感じで、重要視した書き方ではありません。
 ただし、ネックの中央かどうかは別にして、極論すれば実はこの左手の親指(とその位置)こそ、音階:上昇下降スラ-:拡張など、その他のうんざりする様な1:2:3:4の練習や鍛錬より遥かに大切であり、左手の肉体的基礎(の一つ)なのです。
 右手の指の場合を思い出してみましょう。親指pをしっかり打ち込むとそれによって右手全体が安定し、たどたどしかったアルペジオやトレモロのimaも自然に良くなります(コルムナ16~20)。左手も全く同じ理屈です。
 親指とは文字通り元締めの指、一番大切な指、指の中の指です。これを度外視すれば他の4本の指がグラつくのはむしろ当たり前。また、親指が安定すれば他の4本の指も自然に安定して来るのは右手左手の共通項です。
 親会社がグラつけば子会社がコケます。指も同じこと。左手もまずは何をさておき親指です。1~4はそれからの話しです。
 
 

 

89 左手の肉体的基礎 15-06-2004(火)

 
  左手もまた『指に問題が起これば原因はそこではない』と言う原則に変わりはありません(コルムナ50)。その原因、つまり、基礎について便宜上『肉体的基礎』と『精神的基礎』に分けて考えて行きましょう。まずは左手の指の『肉体的基礎』から・・・。
 まず『目に見えている個所、誰でも注目する個所は基礎ではない』とすれば(同88)、左手の指自体(1:2:3:4)は左手の指自体の肉体的基礎ではあり得ません。また『基礎とは目に見えない個所、または目に見えても人が注目しない個所』だとすれば(同88)、それは手の平:手の甲:親指(いずれもポジションによって奏者自身や聴き手から見え隠れする場合もありますが)と言えます。前者2つをまとめて“手(もちろん1:2:3:4の指は含まず)”とすると、左手の『目に見えない個所、または目に見えても人が注目しない個所』は『手』自体と『親指』です。
 ギタ-教則本が左手の弦を抑える指(1:2:3:4)の鍛錬に明け暮れることから考えても、ギタ-教則本が見向きもしないこの『手』自体と『親指』こそ文字通り『目に見えない個所、または目に見えても人(教則本!?)が注目しない個所』であり、逆に左手の肉体的基礎であることの裏付けです。
 また、基礎とは『揺るぎなく据えてやれば他の個所も自然に良くなり、逆にこれがグラつけば他の個所も総てグラつく最重要部』だとすれば(同4&5&87)、この『手』自体と『親指』を揺るぎなく据えてやれば他の指(1:2:3:4)は自然に良くなり、逆に『手』自体と『親指』がグラつけば他の指(1:2:3:4)も総てグラつくと筆者は自らの体験から断言します。
 要はギタ-教則本がやれと言っていること以外のことに注目すればほとんど当たりなのです。読者の皆さん、いつも初心に帰ってこの捻くれた根性でギタ-を弾き続ければ必ずやギタ-教則本で勉強するより遥かに上達します(上の枠内スペインギタ-週間コルムナ綱領!?参照)。そうすればいつの日か一体どちらが捻くれているのかはっきりするでしょう!?
 来週からはこの左『手』自体と『親指』について。
 
 

 

88 左手の基礎初め 08-06-2004(火)

 

   左手の指で弦を押さえて右手の指で弦を奏でるのがギタ-とすれば(総ての場合そうでないのですが)、その左手(の指)について『肉体的基礎』と『精神的基礎』の二面から見て行きましょう(先週のコルムナ)。もっとも右手の場合同様この両者は全く別物ではなく、お互いに相関関係にあるのは言うまでもありません。

 まず、基礎とは先週述べた様な定義で宜しいかと思いますが、別の角度から『基礎とは目に見えない個所、または目に見えても人が注目しない個所』と言うことが出来ます。また逆に『目に見えている個所、誰でも注目する個所は基礎ではない』とも言えます。例えば観光客が見て驚嘆するのはアルハンブラ宮殿の繊細なアラベスク模様であり、地中に埋もれた基礎工事ではありません(同3)。また、機関車は地中には埋もれていませんから乗客にも見えますが、客車に乗る乗客にとっては客車の豪華さや設備が関心事であって、客車に乗って機関車の性能や馬力についてまで考えを巡らせる乗客など稀です(同44467173)。

 従って左手の基礎もまた左手の指自体やその肉体的鍛錬(音階:拡張:スラ-などの基礎練習)ではないと言うことです。また、指が届かないのは必ずしも指が短いからでもなく、Fが押さえ切れないのは指が堅いからでもなく、ポジション移動が上û